問題 4   次の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、
        1・2・3・4から一つ選びなさい。
昭和40年代には、日本語を漢字仮名まじり文で書いている限り、タイプライタ
ーで美しい文書を迅速に作成できる欧米社会とは互角にわたりあえない。
だから 機械で書けない「遅れた」文字である漢字など廃止してしまえという議論が、ビジネス界を中心に真剣におこなわれていたものだった。

だが時代は大きくかわった。技術者たちの努力によってコンピューターで大量の漢字
が使えるようになり、漢字は復権をとげた。今では、書きにくく覚えにくい憂鬱
(ゆううつ)だって顰蹙(ひんしゅく)だって蹂躙(じゅうりん)だって、キーをいくつ
か押すだけで簡単に画面に表示でき、ボタン一つできれいに印刷できる。しかし、
目の前に機械がいつもあるとは限らない。

しかたなく手書きで漢字を書こうとして、いくつかの漢字が書けなくなっている事実に
気づいて人は衝撃を受ける。 コンビューターを使いだしてから、漢字をど忘れする
ようになった、と多くの人はいう。しかしそれは文字記録環境が昔にもどっただけで、漢字が書けるか書けないかは、もとをただせば漢字に関する個人それぞれの知識量と
習得達成度によるものである。 いつの時代においても文字を手で書くという行為はなくならないし、どれほどコンピュ
ーターが進化しても、文章の読み書きが国語の基本であることは絶対に変わらないし、そのための基本教育がおろそかにされることは決して許されない。

ただ、手書きの時代には大きな労力を必要とし た複雑な漢字が、今は機械によって
簡単に書け、きれいに印刷できるようになったことに対しても、客観的事実として
はっきり目を向ける必要があろう。これからは、かならず手書きで書けなけれ
ばならない一群の基本的な漢字群と、正しい読み方と使い方を把握さえできていれ
ば必ずしも手で正確に書けなくてもよい漢字群、というように、漢字全体を二層の構
造にわけてもいいのではないだろうか。

コンピューターで文章を書くのが普通の行為になった時代に、20数年前に定められた
漢字の規格が示す「常用性」が、大きくゆらぎはじめてきたのは当然である。

そして文化審議会国語分科会が常用漢字に対する 見直しを提起した背景にも、もち
ろん漢字をめぐるそんな時代の変化があったのはまちがいない。 文字は文化の根幹に位置するものである。文化審議会の提起をきっかけに、私たち
を取り巻く文字環境がより便利で合理的なものになるように、各方面の積極的な
努力を期待したいものだ。

             (阿辻哲次(2005)「機械で書く漢字を認めよう」『朝日新聞』による)
 
7번문제
漢字廃止論が唱えられた理由は何か。
 
時代遅れだから。
機械で書けないから。
書けない字が多いから。
書きにくくて覚えにくいから。
8번문제
コンピューターによってどんな変化がみられたか。
 
文書の中で漢字の使用が増えた。
人々の漢字を書く能力が向上した。
複雑な漢字が簡単に書け、印刷できるようになった。
漢字は書けなくても、読めて使い方がわかればよくなった。
9번문제
筆者が期待していることは何か。
 
常用漢字を見直すこと。
漢字を復権させること。
漢字をど忘れすることがなくなること。
国語教育で漢字教育の比重を増やすこと。